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「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」

今シーズンよりGT300クラスに新規参戦する「♯14 SG CHANGI IS350」は、デビュー3戦目を迎えた。舞台はスーパーGTシリーズ唯一の海外ラウンドとなる、セパン・インターナショナルサーキット。エースの折目遼選手とは好相性のサーキットである。またチームの本拠地シンガポールにも近いことで、凱旋レースとも位置づけられるこの一戦。数多くの応援団が詰め掛け、チームのモチベーションは急上昇することとなった。なお、今回はレギュラードライバーのアレキサンドレ・インペラトーリ選手が都合により欠場。ピンチヒッターに阿部翼選手を起用した。

セパンでの最初の走行となる土曜日の公式練習は、午前10時より行われた。ここで♯14 IS350はマイナートラブルに見舞われてしまい、エースの折目選手が2分11秒台後半まで詰めたところでタイムアウト。19台中14番手という、不本意な結果を余儀なくされる。また何よりも、ピンチヒッターである阿部選手が走行できなかったのは痛かった。しかし、08年に阿部選手がもてぎでスーパーGT初優勝を飾った時のマシンがIS350。マシンそのものを既に熟知していたことは救いだといえた。
今回の予選は開幕戦の富士と同様、スーパーラップ方式が採用された。公式予選1回目では2人のドライバーがともに予選通過基準タイムをクリアしなければならないのだが、♯14 IS350にとっては今回、久々の参戦となる阿部選手が公式練習で走行できなかったことで、予想以上に高いハードルである。

その公式予選1回目のセッションは予定通り、午後2時15分から行われた。最初の混走が開始されると♯14 IS350はまず、阿部選手がコースイン。予選通過ラインは2分15秒後半で13秒台であれば確実だと予想される中、阿部選手はあっさりと2’12.802をマークする。こうして早くも不安をひとつ消し去った♯14 IS350。後は、エースである折目選手にスーパーラップ進出を託すのみとなる。

その公式予選1回目のセッションは予定通り、午後2時15分から行われた。最初の混走が開始されると♯14 IS350はまず、阿部選手がコースイン。予選通過ラインは2分15秒後半で13秒台であれば確実だと予想される中、阿部選手はあっさりと2’12.802をマークする。こうして早くも不安をひとつ消し去った♯14 IS350。後は、エースである折目選手にスーパーラップ進出を託すのみとなる。

混走時間内にピットアウトしていった折目選手は、マシンの状況を確認すると一度ピットイン。
ニュータイヤに履き替え、コースが空く専有時間帯を待ちながら集中力を高めていく。そして満を持してのアタック。昨年のセパン大会では優勝を飾り、08年と09年には3位表彰台を獲得している、セパン・マイスターの一人としても知られる折目選手は、そのマイスターぶりをいかんなく発揮する。公式練習の自己ベストを1.2秒以上も更新する2’10.490をマークし、7番手で堂々とスーパーラップ進出を果たした。

トップ10グリッドを決めるスーパーラップは、午後4時半から開始された。7番手からのポジションアップに期待がかかった♯14 IS350だったが、3番目にアタックした折目選手は手堅い作戦に沿ってタイヤ選択したこともあり、ミスらしいミスはなかったものの2’10.545に留まり、結果は2ポジションダウン。決勝で♯14 IS350は、9番手グリッドからスタートすることになった。
セパン・インターナショナル・サーキットは前日よりも雲が厚く蒸し暑さが増したものの、雨の予報は外れ、ドライコンディションとなった。午前9時40分から30分間のフリー走行と、同じく30分間のサーキットサファリが行われたが、ここで♯14 IS350は決勝用のセッティングを入念にチェック。さらにスポット参戦で阿部選手を起用しているため、より重要となるドライバー交代の練習を行った。

猛暑のマレーシアでは、国内開催とは違い夕刻にレースが行われる。午後4時、いよいよスーパーGT第3戦、決勝の火蓋が切られた。
今回、♯14 IS350のスタートドライバーをつとめたのは阿部選手。久々のGTレースだが、そのブランクを感じさせることなく巧みなスタートダッシュを見せ、2ポジションアップの7位でオープニングラップを終える。その後もストレートスピードが高いマシンを相手に、ポジションを前後させながら健闘。8位を走行していた14周目に、少し早めのルーティンピットで前半スティントを終えることとなる。
快調に走っていた阿部選手だったが、ライバルをやや抜きあぐねていたこともあり、チームは早めにピットインさせ、コースが混雑してないクリアな状況で走らせようという作戦を採った。

交代した折目選手は16位でコースに復帰。快調なペースで先を急いだ。ルーティンのピットインを早めた関係でピットアウトしたときのポジションは大きくダウンしていたが、その分、ライバル各車がピットインするたびにポジションアップしていく。毎周のようにポジションを上げていった折目選手は、レース折り返しと考えられていた22周を走り終えた時点で10位にまで到達。いよいよポイント圏内に入ってきた。
ところがその矢先、ストレートでいきなりスローダウンし、コースサイドにマシンを止めてしまった。どうやら駆動系のトラブルが発生したようだ。快調だったレースの流れはここで潰え、♯14 IS350は痛恨のリタイアを喫してしまった。

 

チームにとっての重要な凱旋レースは、あっけないフィナーレとなった。前回の岡山ラウンドでも予選で駆動系トラブルが発生したことで、今後においてもこれは気がかりな問題である。レース後、村橋監督も「駆動系をもう1回見直さなければ……」と、このトラブルを重要視した。3戦を経て、チームもドライバーも流れを掴んできていることは確かだ。次なる第4戦(スポーツランドSUGO:7/31決勝)では、万全の体制での初入賞に期待がかかる。

●折目遼選手 「今回もトラブルに泣かされましたが、流れ的には悪くなかったと思っています。インペラトーリ選手が都合で出走できなくて、ピンチヒッターとして阿部選手に来てもらいましたが、ぶっつけ本番だったにもかかわらず、いい仕事をしてくれたと思います。決勝では直線の速いマシンを抜きあぐねていたので早めにピットインすることになりましたが、作戦通りに後半のスティントで追い上げていくことができ、ポイント圏内まで復帰したのですが……。でもこれを切っ掛けに駆動系をもう一回見直してもらえることになったので、次回以降には期待が持てると思います。多くのファンの前で好成績を残せなかったのは残念ですが、結果的に次に繋がるレースができたと思います」

 

●阿部翼選手 「今回乗ったマシンは、基本的には以前乗ったマシンと同型ということで安心していたのですが、実際にはウェイトも大きく違っていて、全く別のマシンでしたね。で、予選はぶっつけ本番で、決勝までに15周しか走れなかったのですが、レースが始まったらストレートの速いクルマに対してコーナーでマージンがあってペースを守れたし、何とか最低限の仕事はできたのかな、と。トラブルでリタイアとなったのは残念でしたが、シングル入賞できるペースで走ることができ、セッティング的にも次回のSUGOでは期待できると思います。僕自身、出ることができないのは残念ですが、今回走らせてもらえたことで、自信を取り戻すことができました」

●村橋郁徳監督 「今回は、インペラトーリ選手が都合で欠場し、ピンチヒッターとして阿部選手に走ってもらいました。今年初めてのレースということで緊張もしたんじゃないかと思いましたが、期待通りの仕事をしてくれました。残念だったのは駆動系にトラブルが出てしまったことですね。少し疲労が蓄積しているようで、前回の岡山でもトラブルがあり、それに対処したところで今度はまた、別の弱いところにストレスが集中したんでしょうね。なかなか難しいところはありますが、これを機会にもう一度駆動系を見直して、熟成していきたいですね。最後になりましたが、今回はチームの地元からも近く、多くのファンが応援に駆けつけてくれました。その前で完走できなかったのは残念ですが、悔しさをバネにして、シーズン後半戦を戦っていきます」

 


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